雨ふりうさぎの覚え書き

忘れっぽいので、日々の覚え書きを

ドライブスルー火葬

父親が亡くなった時、火葬はドライブスルー式だった。
新型コロナではない、17年も前の話。

 

早期退職して米国永住権を取り、60過ぎて一人ハワイで生活していた父は、ワイキキに所有するコンドミニアムで一人で亡くなった。死亡診断書の死因はHeart attack、つまり心筋梗塞だ。まだ60代、特に持病もなく元気に生活していたから、本人も死ぬ気は全くなく、倒れていた横のローテーブルの上には、まさに今黒蜜を掛けようとして開封しただろう立田野のあんみつが手つかずのまま残されていた。

かねてから親しくしていたハワイのプロテスタント教会の日本人コミュニティの方々には、警察への連絡から葬儀まで本当に助けていただいたが、その見送りのプロセスが日本とあまりに違くて、カルチャーショックの連続だった。

 

まず入管。父の死の報を受け、小さかった息子を連れて日本から駆け付けた私は、入国審査でSightseeing と答えるのに躊躇した。観光と答えなくてはいけないけど、これは観光じゃないし。と。

 

しばらく黙り込む私を、怪訝な顔をしたアフリカ系の女性入国審査官がのぞき込む。父が亡くなったので駆け付けて来たのだと、慌てて説明すると、びっくりした顔をして、それから彼女はすぐに泣きそうな顔になり、気の毒に、といって肩を抱いてくれた。

 

堅い職業の人の人間らしいリアクションには、慰められる。

 

その足でホノルル警察に行き、遺体安置所に案内される。遺体との対面は無く、写真だけの確認。少し眉間をしかめた、眠っているような顔。「お父さんで間違いないね?」と聞かれて、そうです、と答える。

すぐに死亡診断書を渡してくれて、エンバーミングと葬儀と火葬の手続きを促された。役所に行って手続きをしている間に、葬儀は現地の友人である牧師がマキキの葬儀場を手配してくれ、そのまま彼女が全てを準備して執行してくれた。

 

母親を送った時もそうだったけど、キリスト教の葬儀は明るい。

 

賛美歌をいくつも歌い、神様への感謝と天国への旅立ちを祝い、いつかの天国での再会を祈る。辛気臭さは何一つなく、悲しみを吹き飛ばすほど暖かくて透き通った晴れやかな空気がある。

 

神様ありがとう、あとはよろしく、(この「よろしく」、にはいろんな意味がある)、という気持ちになる。

 

肩の荷がいっきに降りる、この感覚も、母の葬儀で経験したものと同じだ。

 

びっくりしたのはハワイ大学の学生さんや若いOB・OGが何人も来てくれたことだ。どうやら父は同じコンドミニアムに住む学生さんと仲良くなって、週末には自宅を開放して、そうめんパーティなるものを開いていたらしい。

 

そこが小さな学生コミュニティになって、友達が友達を呼び、人数が増えていったらしい。そこで知り合って結婚したカップルもいて、奥さんのお腹には、すでに5か月になる赤ちゃんがいた。


火葬場はマジックアイランドのそばで、いつの間にか遺体が運び込まれ、私たちが到着した頃には火葬の準備が整っていた。

 

ドライブスルー火葬というのはここからだ。

 

駐車場で車を降りて、建物外にある、ほんとにマクドナルドのドライブスルーみたいな窓口に行って書類を見せると、黄色いプラスチックのフードコートでもらうような番号札を渡された。明日の12時に遺灰(遺骨ではない)を引き取りに来て、という。

 

えっ、火葬の間遺族は付き添わなくていいの?と窓口の人に聞くと、「なんでそんなことをするの?」と逆質問された。火葬の間、遺族は自宅で過ごして、終わったら取りに行くだけなのだ。

 

灰にするというから、「骨じゃなくて?」と聞くと、「日本人は骨を残すのよねー。骨じゃなくて、灰よ。」と怪訝な顔。後から知った話だけど、骨だけを残して焼くというのは技術のいることらしい。向こうでは高温で一気に遺体を焼いて灰にする。当然、お骨拾いという儀式もない。

 

日本人は遺骨に特別な思いがあるというが、向こうはそうではないらしい。死者が49日間この世に留まるということもない。お盆にちょくちょく帰ってくることもない。

 

キリスト教では地上の命が終わった瞬間に、その人の魂は、良いことも悪いことも全て込みで、神様の手に引き取られる。葬儀の後、私が「荷が降りた」と感じたのは、そこだと思う。

 

翌日、言われた通りの時間に遺灰を取りに行く。全て終わったという安堵感が再び。車を出してすべて付き添ってくれた牧師が、帰りにマジックアイランドの路上で突然車を止めた。

 

空を見上げると、ビーチの上に、見たこともないような巨大な虹がかかっていた。

 

 

今日のばんごはん:

回鍋肉

鉄鍋餃子

さんまのフライパン焼き

わかめときゅうりとしめ鯖のサラダ

20年前のシニア像

今からわずか20年前、シニアは社会のマイノリティだった。20代だった私も、シニアというのは人生の役割を終え、世の片隅でひっそりと暮らす人たちというイメージを頭の片隅に持っていた。

 

今20代の息子はどんな印象を持っているんだろう。今度聞いてみたい。

(「今は若者こそがマイノリティ」とか言われたら辛いな)。

 

社会人になって初めて務めた外資の会社を退職し(正確には911テロで会社が潰れ)、求職者給付を貰いながら通ったITの専門学校で、Tさんという人と知り合った。当時耳慣れない「シニアのためのマーケティング」の本を上梓した直後の人で、長く務めた外資製薬会社のマーケティング職を早期退職し、退職金でシニアだけをターゲットにしたSNS(当時はWEBコミュニティとかいう言葉を使った)を新規ビジネスとして始めたいという。確かTさん当時45歳。

 

その話に乗って、シニア(50歳以上限定)が気軽に集えるWEBの場づくりにWEB運営担当として参加したのは確か25歳。ネット環境はようやくISDNが普及し、ADSLが注目されはじめた頃だった。

 

 

Tさんの提言は、

 

「スーパー等で配られるアンケートはがきを見てください。”あなたの年齢は?”という属性項目が、10代、20代、30代、40代で終わっています。それ以上の年齢は”50代以上”と一括りにされている!シニア向けの商品やサービスの開発をこの国がいかにおろそかにしているか。」

 

というものだった。

 

当時、(今もかもしれないけど)この国の個人資産の9割は60代以上の人が所有していると言われていたから、彼らが喜んで出費をしたくなるような商品やサービスを開発することが、シニアの幸せにも、この国の経済にも貢献すること、ひいては全世代に貢献することになるのだというのが、新規事業の目指すところだった。

 

時おなじくして、電通が「シニア大航海プロジェクト」という、やはりシニア向けのマーケット開発のための活動を推進しはじめていた。テレビCMや雑誌などにシニアのビジュアルが頻繁に登場し始めた。

 

私たちが運営するシニア向けのコミュニティサイトのコンテンツテーマは、旅行やガーデニング、食品等。あと、当時のシニアがこぞってはまっていたのはデジカメ。メルマガもずいぶん書いた。こういう消費財に対する会員向けのアンケート調査等をして事業会社に販売する。これはTさんの得意領域だったから、事業は割と順調に進んだ記憶がある。

 

でも実は、デジカメに次いで会員の反応がよかったのは実は「ボランティア」のコンテンツだった。消費するだけの人ではなく、誰かの役に立ちたい、そういう思いをつづる人が多くて、若いながら共感した私も「ボランティア」コンテンツに入り浸った。お金にならないコンテンツばかり拡充するのはどうか、と当時社内では言われたけど。

 

それから20年たち、気が付けば当時のTさんと私は同い年だ。転職を経て、今の会社でもシニアをテーマにした講習企画を何度かやってきた。「シニアのキャリア」とか「ライフプラン」「マネープラン」を扱うけれど、その根本のところは、20年前に運営していたWEBサイトと変わらないのだな、ということに最近気づいた。

 

今日のばんごはん:

イカバターとジャガイモ炒め

ブロッコリーとスパムの炒め物

金華サバの塩焼き

肉豆腐とネギの煮物

 

 

 

 

iPad mini第5世代を買った

お題「これ買いました」

 

AppleストアからiPad mini第5世代をポチした。

 

読書、LINE、メール、ちょっとした調べもの、迷子になったときのGoogleマップスマホよりも大きめの画面が好みなので、今でもスマホと一緒にタブレットを常時携帯している。

 

XperiaZ3を10年近く使ってきたが、バージョンアップできないAndroidが流石にしんどくなってきて、外出時にいちいちWifiを立ち上げるのも面倒だし、LTEモデルが欲しいなと思ってタブレットを探していた。

 

最近のiPadは価格帯もスペックもちょうど良い感じになってきた。相変わらず重そうだけど。

 

iPad mini第5世代は、ハードのデザインはクラシカルなまま。それでいて中身は最近の必要に十分すぎるほど十分にアップデートされている。

こういうの、気が利いている。

 

マウスが使えるのも、なんかいいな。

 

明日届きそうで楽しみです。

 

お題「これ買いました」

 

浅草まで散歩

今週のお題「遠くへ行きたい」

 

6月第一週は札幌旅行を計画していたけど、キャンセル。毎月1回は旅行に行くというルールの我が家が、3か月も旅していない。その代わり、毎週土曜日か日曜日は5キロ以上のお散歩をしようね、と、地図を見ながら色々計画している。

 

今日は夫と2人で浅草まで歩いた。日本橋界隈を抜けて、馬喰町を抜けて浅草橋と蔵前を 抜けて。片道4キロ、往復8キロの散歩道だった。

 

 浅草はだいぶお店も開いていたが、晴天の日曜日とは思えないほど、人はまばら。子供の頃、おばあちゃんによく連れてきてもらった仲見世は、こんな感じだった記憶がある。 静かに賑やかな、これが本来の姿ではなかったかしら。

 

オープンエアのもつ焼き屋で、もつ煮ともつ炒めと、夫が昼ビールで、私はレモンサワー。

 

心の底から気持ちが晴れ渡るほど、気持ちがいい。

 

舟和の芋ようかんソフトを2人で半分こして食べながら、隅田川沿いをずっと歩いて、帰宅。

 

 

 

今日のばんごはん:

  小松菜とスパムの炒め

  たかさごのチャーシューと煮豚と煮卵

  鮭のハラス焼きと大根おろし

  明太子とクリームチーズ

  鉄鍋餃子

 

お題「遠くへ行きたい」

死ぬとき後悔しない仕事

事業管理に日々奔走している。私の本業はカウンセラーで、それを事業化し、今は管理とか教育業務が9割だ。官公庁への手続き関係、資料や教科書・カリキュラムの修正、スケジューリングや受講者募集、WEBサイトの企画等等。加えて、企画とか得意な領域は社内のプロジェクトに引っ張りだされる。

 

奔走しながらも、思う。事業は潰れされても少しのお金を損なうだけだ。だいたい赤字垂れ流している事業ではないから、利益がなくなるだけだ。うちぐらいの規模の会社なら、事業一つ消えても、誰一人、痛くもかゆくもない。消えたことに気づかない人の方がきっと大多数だ。

 

カウンセラー業務は違う。一つの失敗が、その人の人生とその家族、夫や妻、その子供たちの将来までも損なうことがある。逆に良いカウンセリングはその人の人生を良くし、家族を幸せにし、その子供たちを繁栄させる力を持つ。

 

会社の地位とか多くの人が求める仕事の価値や生産性なら事業管理や運営になるのだろう。でも目の前のクライアントの人生を受け止めるカウンセリング業務の方が、はるかに重い。

 

あまり気づかないけど。

 

Amazonに読みたい本リストがたまっていく。全部買ったら大変な金額になりそうだ。

 

魚久のすぐそばに区立図書館があるじゃないか。日本橋図書館の蔵書は11万冊。切り落としピックアップして、その帰りに図書館に寄ることができる。こりゃ天国だな。

 

京橋図書館は35万冊。京橋図書館なら帰りに築地場外に寄って魚が買える。魚買って、100円バスに乗って本を読みながら帰れるじゃないか。これもすごい。天国の上はなんていうんだ。

 

今日のばんごはん:

鰆のフライ

レバニラ炒め

サバの塩焼き

塩昆布キャベツ

わかめときゅうりとしめ鯖の酢の物

 

夫の好きなところ

うちの夫には欠点がない。ないわけないのだが、探しても見つからない。

 

新婚という病気なのか。

 

会社のPCの付箋アプリに、夫の好きなところリストを仕事中こっそり書き溜めていたら結構長くなった。ITからPCの認証基盤の更新をするので余計なアプリは消してくださいと言われたので、あわててテキストだけ移植する。

 

今のこの気持ちこそ「覚え書き」しておくべきことなのかも。

 

夫の好きなところ

  • さわやかイケメン、まず顔から好きになったことを私は素直に認める
  • 長身でスタイルが良い
  • 甚平もパーカーもスポーツウェアもビジネスカジュアルもみんな似合う
  • いつも清潔で、適度におしゃれで身なりに気を配る
  • 笑顔が世界一級レベル、しかもデフォルトが笑顔
  • デフォルトの笑顔からびっくりした顔、困った顔、くるくる変わる表情が豊か
  • つまり表情筋が人よりも発達している
  • だいたい、いつも機嫌がいい、勝手に機嫌が悪くなったりしない
  • こころがいつも、落ち着いて安定している
  • たまに落ち込むときは「落ち込んでいる」ことと理由を教えてくれる
  • 悪い空気を吸いにいかない、悪い言葉をいつも避ける
  • 喧嘩の空気を上手に避ける
  • ユーモアのセンスがあって、たいがいのことはユーモアで乗り切る
  • 仕事に誇りを持っている、その道のプロの自覚で仕事している
  • 部下から頼られている、部下をすごく大事にしている
  • 上司との折り合いもうまい、会社の困った人の扱いもうまい
  • 両親を適度な距離で大事にしている
  • 私の息子と友達のようにしてくれる
  • 家の家事を手伝いではなく自分の仕事と思ってやってくれている
  • 洗濯が少なくとも私よりうまい
  • 料理も少なくとも私よりうまい
  • 身の回りをいつもきれいにしている、整理整頓が私よりもはるかにうまい
  • 物を捨てるのが上手、ルールをちゃんと持っている
  • 共感力があって、話をよく聴いてくれる、興味のないことも聞いたふりをしてくれる
  • いつも一緒に考えてくれる
  • 私のちょっとした変化にすぐ気づいてくれる、困ったときは一緒に困ってくれる
  • 私の仕事に関心を持って話を聞いてくれる、頑張ったり成果だしたときは凄いね、とか、やったね、と言ってくれる
  • 旅行が好き、歩くのが好き、食べるのが好き
  • 金銭感覚がきちんとしている、買い物上手で無駄遣いをしないが、楽しみにも上手にお金を使う
  • 動物が好き、ただし爬虫類と虫は苦手
  • マメでよく動く、よく気づく
  • 子供並みに好奇心旺盛でじっとしていられないのがかわいい
  • 人を助ける心を持ってる、行動もする
  • 運転が上手、丁寧で歩行者に優しい
  • とても頼りがいがある、人から頼られたいと思っている
  • でも、家では甘えるのもうまい
  • もりもり食べるのがかわいい、パクチーと塩辛以外は好き嫌いがなくて、何でもおいしいといって食べてくれる
  • 一緒に映画やテレビを楽しめる
  • 一緒にゲームを楽しめる
  • 小さなことにありがとうを言ってくれる
  • 適当に良いタイミングでごめんね、を言ってくれる
  • 言葉がいつも暖かい
  • 一緒にいると幸せ
  • 一緒に歩いているとき「楽しいね」と言ってくれる

 

今日のばんごはん:

いさきの開き

レバーの甘辛煮

大根のサラダ

じゃこピー

キムチ納豆

トランジション

講習企画のためにウィリアムブリッジスの「トランジション ――人生の転機を活かすために」を読んでいる。AmazonのUnlimited で無料公開されていてびっくり。

 

誰の人生にも、何度でも(時には前触れなく)訪れ、人間としての発達を促すトランジション。ブリッジスの定義は終焉から中立圏を経て、新しい始まりへのプロセス。客観的に自分の状態を受け入れ、きちんと自分の足で踏みしめていくためには、ひとりではなくカウンセラーや支援者の力があった方が当然良い。

 

ブリッジスはトランジションを支援する専門職の育成を考えたという。

なるほど、と思う。

 

今日のばんごはん:

まぐろホホ肉のガーリックバターステーキ

大根とホタテのサラダ

マーボーナス

キムチ納豆

おつけもの色々