雨ふりうさぎの覚え書き

忘れっぽいので、日々の覚え書きを

令和型就職氷河期から逃れるには

令和の就職氷河期がやってくる、と言われている。新卒一括採用の慣習がなければ、深刻な事態になるはずがないのに、何度失敗を繰り返しても、日本のこの悪習はいつまでも変わらない。

 

就職氷河期から逃れるには、世間の時間軸からあえてズレた生き方をするのがいい、と思う。ズレるというのは、新卒一括採用・終身雇用の呪縛から、自分の意志で自由になるということだ。

 

何もスタートアップベンチャーをやりましょうとか、フリーランサーとして生きていこう、ということではなくて、サラリーマンとして生きるにしても、だ。

 

私も夫も、バブル崩壊後の就職氷河期まっただ中(22歳時が1995年と96年)の世代だが、世間の時間軸とはずいぶんズレた生き方をしてきたという共通点がある。
夫は高卒のスタートで、私に至っては高校中退だった。

新卒採用の終身雇用というイメージとは縁遠く、二人とも最初は職を転々とした。

 

そんなんで大丈夫かと思われるかもしれないが、今、夫は商社で上の方の役職で、年齢の平均よりもだいぶ上の収入を得ているし、仕事と役割に誇りをもって生きている。

 

彼の収入の大部分は、彼の人並外れた社交性とコミュ力で成り立っていると私は思う。20代前後のホテルマンの仕事やスキー場のバイト、スポーツジムのインストラクター(エアロビ!)で鍛えられたものだと本人は言う。

 

私も今は1万人弱の規模の会社で管理職として満足できる報酬を受け、自分なりの組織への貢献を意識しながら、忙しい毎日を送っている。

 

氷河期世代でありながら、氷河期の波に飲まれずに済んだのは、最初から、世間の軸からズレていたおかげだよね、と時々話す。

 

私の場合も中高大学一貫の私立高を高2で中退して、否応なくズレまくりの職業人生のスタートだった。誰から見ても完全負け組だったけど、本人の中にはそんな意識は全くなく、いろんなアルバイトをしながら、「生きていくために必要そうなこと」に対して、20歳で出産した息子を一人で育てるプレッシャーとともに、楽しみながらチャレンジしてきた。

 

就職に最初に役に立ったのは、好きで独学していた英語とパソコンだ。小学校5年の時からマイコン(懐かしい)を持っていて、20歳になるころにはGUIが別次元のように進化したMacintoshに夢中になっていた。

 

当時、日本IBMでさえ管理職はTOEIC700点あれば十分とされていたほど日本人の英語力は低かったし、パソコンだって自由に操れる人はほんの一握りだったから、結構重宝された。

 

最初に正社員として勤めた会社はアメリカに本社がある外資企業で、22歳の時、電柱の貼り紙を見てアルバイト採用され、半年後に正社員にしてもらい、3年後、25歳になったころには、部下8人を抱える小さなマーケティング部門のトップをやらせてもらった。911ショックで会社ごと潰れたけど。

 

その後のキャリアで役に立ったのは、

・大検からの通信制短大、通信制大学経営学マーケティングを学んだ)

・失業給付を貰いながら職業訓練校で学んだWEBマーケティングとデザイン(20代後半はほぼこれだけで親子十分に食いつないだ)

派遣社員(大手外資IT企業のWEBプロデューサーとして2年半働かせてもらい、尋常じゃなく優秀な社員の方々のもとで、大きな予算の事業企画やプレゼン、マーケティング、チーム運営のノウハウを学んだ)

 

30歳で今の会社に最初はWEB事業の担当として正社員採用され、その後はITを離れて全く違う畑で社内キャリアを積んだ。

そこからも、

 

・社会人大学院

・国家資格の受験

・関心事でつながる様々なコミュニティへの参加

 

こういったものが仲間や人脈を与えてくれ、仕事の世界が広がり続けている。

 

年に一回ぐらいの頻度で、大学のキャリア論の講義に招いていただき、今年の秋も登壇予定だ。受講してくれる学生さんたちは、今就職に対して不安を抱えているものと思う。

 

新卒一括採用の悪習を嘆くのではなく、そこから自ら抜け出る自由があるということを、彼らに私なりの言葉で、伝えることができればと思う。